筑波大学デジタルデモクラシーと
政治的不平等(DDPI)プロジェクト

第2回 ICR・プレ戦略イニシアティブ共同セミナー「女性議員が活躍できる政治環境とは」

令和3年度より採択された筑波大学プレ戦略イニシアティブ「格差・不平等の政策的解決に向けた実証社会科学研究拠点」では、格差・不平等の政策的解決に向け、デジタル技術、ジェンダー、教育格差、世代格差など様々な事象をテーマとして継続的にセミナーを開催していく。


本講演動画は非公開としております。ご理解いただけますと幸いです。


開催要旨

2021年1115日に行われた第2回目は、お茶の水女子大学ジェンダー研究所共同研究者及びStand By Women代表の濱田真里氏を招き、「女性議員・候補者のサポートプロジェクトStand by Womenの活動について」と題して講演が行われた。

講演では、まず、女性議員・候補者のサポート団体であるStand by Women の活動概要や立ち上げの背景についての説明がなされた。現在の日本では女性議員の数が非常に少なく、その数を増やすにはどうすればいいのか様々な議論や研究が行われている。濱田氏は女性議員に対するハラスメント問題に取り組む中で、女性議員へのインタビューなどを通して問題の深刻さを実感し、Stand by Womenを立ち上げるに至った。

続いて、2021年に行われた内閣府の調査で、地方議会議員が抱えている課題についての集計結果が紹介された。この中で、特に男女差がある項目は、性別による差別やセクシャルハラスメントであった。濱田氏からは、自身が実施したインタビューを通しても、ハラスメントを受けた頻度も女性議員の方が遥かに多く、内容も深刻であることを実感しており、データの数字以上に男性議員との状況の違いがあるとの報告がなされた。

次に、ハラスメントの中でも特にオンライン・ハラスメントに焦点を当てた調査の報告があり、女性議員がオンライン上で受けるハラスメントが具体的事例とともに紹介された。ここでは、オンライン上で最も被害を受けているのはダイレクトメッセージなどの非公開な場所であること、加害者としては「ネトウヨ」やストーカー的な人物が多いこと、被害を受けている議員の特徴としては1期目の被害が最も深刻であることなどが報告された。そして、地方議員の場合は国会議員に比べて身近な存在であるという認識が、ハラスメントを起こしやすい構造につながっているのではないかとの考察がなされた。また、二次被害の懸念や女性議員自身の「公人」としての抑圧や集票活動の必要性などから、被害に対して声をあげづらく、被害が議員活動の萎縮につながっているとの問題も指摘された。

こうした問題意識をもとに、Stand by Womenの具体的な活動内容として女性スタッフによるSNS運用のサポートが紹介された。また、議員向けのハラスメント対策講座の開催やオンライン・ハラスメントについてのサイト作成など、今後も活動を広げていくとのことであった。

参加者からは「Stand by Women の活動メンバーはどんな方か」「議員の所属政党によるハラスメント傾向のちがいは?」「加害者の特徴に共通点はあるか?」など多くの質問が寄せられ、問題に対する意識の高まりを感じさせるセミナーとなった。


第2回ICR・プレ戦略イニシアティブ共同セミナー「女性議員が活躍できる政治環境とは」
開催日時 2021年11月15日(月)13:00~14:30
開催場所 オンライン
プログラム 「女性議員・候補者のサポートプロジェクト、Stand by Womenの活動について」
濱田真里(お茶の水女子大学ジェンダー研究所・Stand by Women代表)
参加費用 無料
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